
【FP解説】定年退職後の再就職の探し方や向いている仕事を紹介!準備方法や再雇用との比較も
2023年3月16日 (2023年11月3日更新)
定年退職後は、どのような生活を望みますか。定年退職後に再就職したいと思ったとき、どう探せばよいのか、向いている仕事は何か、何を準備しておけばよいのかを、分かりやすく解説します。また、再就職と再雇用、どちらが良いか迷っている人のために、それぞれのメリットとデメリットをご案内した後、定年退職後の制度に関してもご紹介します。
定年退職後の再就職の探し方と準備
定年退職後、どのように再就職先を探すのか、考えたことはありますか。定年を迎えてから仕事を探し始めるよりも、定年前に準備を始めておいた方が、希望の職種に就ける可能性は高まります。再就職の探し方には、主に次の5つがあります。
自らの人脈を利用する
今まで得たスキルや人脈を使い、これまでと同じような仕事をしたいと考えているなら、人脈を利用して職探しをするのがいいでしょう。「●月に退職するのだけれど、何か仕事はないだろうか?」と、知人に声をかけておきます。
ただし、希望する月給額や仕事内容といった希望をはっきり伝えないと、予想とは全く違う内容の仕事を紹介される恐れがあります。紹介者が目上の人だと断りづらくなってしまいますから、希望は初めにきちんと伝えておきましょう。あなたがこれまでどんな仕事をしてきたか知っている人ほど、希望にマッチする案件を紹介してくれるでしょう。
ハローワークで探す
全く新しい仕事に就きたいときは、ハローワークの求人情報を見てみましょう。ただ、シニア向けの求人は限られており、また賃金が低いものもあります。条件をよく読み、理解した上で応募しましょう。定年前に履歴書や職務経歴書を用意しておくとスムーズです。
シニア向け人材紹介サービスを使う
人材紹介会社、派遣会社は多々ありますが、シニア向けの案件をたくさん持っているところは限られています。シニア向けをうたっているところに登録しましょう。定年になる少し前から登録し、希望の職種についてのヒアリングを終えておけば、定年後、より早く希望の仕事をみつけられるでしょう。
再雇用制度を利用する
会社の再雇用制度を利用するのも一つの手です。再雇用には、メリットもあればデメリットもあります。後ほど、詳しく解説します。
起業を考える
現役時代に築き上げた専門的スキルに自信を持ち、組織に入るより独立してやっていきたいと思っているなら、起業という手もあります。ひとくちに起業といっても、会社を立ち上げるか、個人事業主になるかで準備することは違います。スムーズに起業を叶えるには、定年前に、起業の仕方について一通り勉強しておく必要があります。
定年退職後の向いている仕事
定年退職後、日本のシニアは実際にどんな仕事に就いているのでしょうか。政府の労働力調査によると、60歳以上の就業者が就いている仕事として多いのが、次の5職種です。
事務
事務はあまり体力を使わず、それまで会社で培ってきたパソコンスキルなどが活かせる仕事です。時短勤務などの対応も取りやすく、シニアに向いているといえるでしょう。
専門的・技術的職業
現役時代に培った専門スキルや技術を活かし、再就職を果たしている人が多いようです。
販売・サービス
販売・サービス業は、パートやアルバイトとして働きやすい環境が用意されています。「フルだと体力が持たないから、週に何日かだけ働きたい」といった、シニアの希望にマッチします。
生産工程
工場等での生産工程も、販売・サービス業同様、パートやアルバイトとして働きやすい環境が整っているといっていいでしょう。
運搬・清掃・包装
運搬・清掃・包装に携わるシニアは、60代よりも70代以降の方が、割合が大きくなります。目を酷使する事務仕事や、長時間の立ち仕事などから「朝の短時間だけ、清掃を行う」といった働き方にシフトするシニアの姿が連想されます。
定年退職後の再就職と再雇用のメリットとデメリット
再就職のほかに、再雇用も選べる人は、「どちらにしよう」と悩んでしまうでしょう。どちらにも、メリットとデメリットがあります。以下を参考に、自分にとってメリットが大きく、デメリットを解消できると思える方を選びましょう。
再就職のメリット
- 新たな仕事、新たな人生を見つけられる
今までとは全く違う仕事に就けば、文字通り「第二の人生」が始まります。そのワクワク感、フレッシュな感覚は、再雇用では得られないものです。 - 新しい交流が生まれる
新たな就職先で、新しい人間関係が生まれます。今までの人生になかったような刺激を得られることが期待できます。 - 65歳以上になっても働ける
再雇用制度は、65歳までの安定雇用を確保するためのものです。65歳以上になっても、それまでのように働ける保証はありません。再就職であれば、雇用主との契約により、65歳になっても働ける可能性が高まります。
再就職のデメリット
- 一から仕事を覚え人間関係を構築しなければならない
新人から始めるため、初めてのことに戸惑うことも多くなるでしょう。人間関係を新しく構築するのにも、気を遣います。慣れないうちは、一日の終わりにへとへとになっているかもしれません。 - 給与が大幅に下がる恐れがある
一からのスタートなので、現役時代と比べると、給与はかなり下がる恐れがあります。採取色を考えるなら、待遇をきちんと確認し、今後の生活費について夫婦でシミュレーションすることが大事です。 - 希望の仕事を見つけにくい恐れがある
職種や給与、勤務時間など条件にこだわることは重要ですが、あまりにこだわると、希望の仕事を見つけにくい恐れがあります。ハローワークや人材紹介会社を利用するなら、担当者とよく話し合いの上、「譲れないこと」と「妥協してもよいこと」の線引きを決めなければなりません。
再雇用のメリット
- 今までの仕事と人間関係を継続できる
再雇用であれば、今まで培ってきた仕事のスキルや人間関係を継続することができるため、ストレスなく仕事ができるでしょう。 - 厚生年金に継続して加入できる
厚生年金に継続して加入すれば、将来受け取る年金額が増えます。
再雇用のデメリット
- 65歳以上になると働けない恐れがある
再雇用となっても、65歳になると完全に定年退職となるケースが多く見られます。今の職場で長く働きたいのであれば、再雇用契約が終了した後、シニア人材としてパートやアルバイトで働くことができないか、前もって打診しておきましょう。 - 今までと同じ仕事で賃金が下がる恐れがある
再雇用で正社員となっても、定年前とは賃金が違うのが一般的です。平均して、再雇用後は定年前の7~8割程度の賃金しかもらえなくなるというデータがあります。「前と同じような仕事を任されているのに」と不満に思うこともあるかもしれません。 - 違う職場に転向になる恐れがある
今までと同じ職場なら安心と思い、再雇用契約したにもかかわらず、違う部署に異動したり、子会社へ出向という形になることもあります。すると、せっかくの再雇用なのに、慣れない人間関係の中で新しい仕事をしなければならなくなります。
定年退職後に活用する制度
定年退職後は収入がぐっと減ってしまいます。国の制度を積極的に活用したいものです。主なものを3つご紹介します。
高年齢雇用継続給付
60歳以降、賃金が75%未満になってしまったら、高年齢雇用継続給付を受けられないか調べてみましょう。5年以上厚生年金に加入していることなど、いくつか条件があります。
失業給付金の受給
定年退職で仕事を辞めたとしても、すぐに働ける状態で仕事を探しているのであれば、失業者と同じ扱いになり失業給付を受けられます。再雇用制度を利用しない人で、退職後も次の就職先が決まっていないなら、離職票などを持ってハローワークへ出向きましょう。
特例退職被保険者制度
会社勤めを20年以上続けており、老齢厚生年金の受給権者であれば、後期高齢者医療制度に加入するまで、これまでと同じ健康保険に加入できます。国民健康保険に切り替えるよりもお得です。自分の会社が加入している健康保険組合が対象になっているか、調べてみましょう。
晴れやかな気持ちで再スタートを
定年後、全く新しい仕事に就くのか、継続雇用の安定を選ぶかはあなた次第です。家族とも十分話し合い、人生の再スタートを明るいものにしましょう。もちろん、生活資金に余裕があるなら完全にリタイアするという選択も可能です。現役よりも選択肢にあふれ、ゆったりした人生が、あなたを待っています。
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