【FP解説】敬老祝金とは？100歳のお祝い金や贈呈条件や申請方法を解説

88歳の米寿や100歳の百寿など、長寿を迎えた高齢者にお祝い金を支給する敬老祝金制度を設けた自治体があります。自治体によって対象となる年齢やお祝い金の金額が違い、申請方法もさまざまです。敬老祝金の制度内容や受け取る条件、金額、申請方法などについて解説します。最後には、長寿祝いの種類や由来、親族などがお祝い金を贈るときの相場をご案内するため、興味のある方はぜひ最後までお読みください。

敬老祝金とは

敬老祝金とは、自治体が長寿を迎えた市民にお祝い金を支給する制度です。敬老祝金制度のある自治体と、ない自治体があります。制度内容や贈呈条件、贈呈額について解説します。

敬老祝金の制度

敬老祝金は、長く地域社会に貢献してきた高齢者の長寿を祝うために作られている制度です。支給対象となる年齢や金額は自治体によって違い、支給方法も違いますが、おおむね敬老の日（9月第3日曜日）、あるいは老人の日（9月15日）を中心に支給されます。

また、現金ではなく商品券や記念品を贈呈する自治体も見られます。記念品の内容も自治体によってさまざまで、地場産品や、地場産品を扱ったカタログギフトなどがあります。

敬老祝金を受け取る条件

敬老祝金を受け取る条件には「年齢」と「在住期間」があります。

敬老祝金を受け取る年齢

自治体によって違いがありますが、75歳、80歳、85歳、90歳、100歳といった区切りのよい年齢とするケースと、77歳、80歳、88歳、90歳、99歳といった歳祝いの年齢とするケースの2つがあります。

受け取る年齢の基準についてはおおむね2つの考え方があります。1つは、その年の4月2日から翌年の4月1日に対象年齢を迎える人を、対象者とするケースです。もう1つは、「9月1日」「老人の日」「敬老の日」など基準日を決め、基準日に対象年齢に達している人を対象者とするケースです。

敬老祝金を受け取るための在住期間

老人の日あるいは敬老の日までに「3ヶ月～1年以上住民票があること」といった在住期間を設けている自治体もあれば、在住期間については問わない自治体もあります。

敬老祝金の贈呈額

敬老祝金の贈呈額はさまざまですが、おおむね5,000円から10万円の範囲で、年齢が高くなるにつれお祝い金の金額も高くなります。

敬老祝金の申請と受取

敬老祝金の申請方法や受け取り方法は、自治体によって違います。それぞれ、よく見られるケースをご紹介します。

申請方法

敬老祝金を受け取りたいからと自発的に動く必要はなく、ほとんどの場合、支給時期が近くなると対象者の自宅へ祝金の案内が届きます。案内には口座振込申請書などが同封されており、申請書へ祝金を振り込むための口座情報を書き入れて自治体へ返送します。

お祝い金ではなく記念品を贈呈したり、市職員などが直接対象者の自宅を訪問して贈呈したりする場合には、口座情報の返送は不要です。

受取方法

お祝い金の受け取りは、多くの場合、申請した口座への振り込みとなります。100歳など特に高齢の場合には、9月を目処に市町村長や自治体職員、民生委員などが直接対象者の家へ訪れ、お祝い金を渡す自治体もあります。

敬老祝金の自治体例

敬老祝金の対象者や金額、条件、受け取り方法などについて、自治体の例を出しながら具体的にご案内します。なお、詳細は全て2025年1月現在のものです。

東京都江東区

江東区では9月に敬老祝金を贈呈しています。

参考：敬老祝金（江東区）

令和5年9月1日号（こうとう区報）テキスト版4面

大阪府茨城市

茨木市では9月を目処に敬老祝金を贈呈しています。

参考：敬老祝金（茨木市）

最高齢者訪問等（茨木市）

愛知県名古屋市

名古屋市では敬老の日のお祝いとして敬老金を贈呈しています。

参考：敬老の日のお祝い（暮らしの情報）（名古屋市）

Q.敬老のお祝いとして何がもらえるのですか。 【高齢者福祉】（名古屋おしえてダイヤル）

福岡県福岡市

福岡市では敬老祝金は支給されていません。100歳の方に、9月中旬に祝品が贈呈されます。

参考：敬老祝品 – 福岡市

宮城県仙台市

仙台市では、9月30日に敬老祝金が贈呈されます。

参考：敬老祝金（仙台市）

長寿祝いの基礎知識

長寿を迎えると、各家庭では近親者を集めて、あるいは家族だけでささやかに、お祝いを行うことがあります。長寿祝いは「歳祝い」とも言われ、行う年齢が決まっています。本来、数え年で行うお祝いごとですが、現代では数えでも満年齢でも、どちらでも構いません。

長寿祝いの種類や由来、お祝い金の相場をご紹介します。

60歳～70歳代（還暦、古希、喜寿）

60歳には初めての長寿祝いがあります。60歳は「還暦」とされ、十干十二支（甲・乙・丙など10の要素と十二支を組み合わせたもの）が60年で一巡することから、「暦が還る」＝「還暦」とされています。還暦は生まれ直しを意味し、生まれたばかりの赤ん坊を悪いものから守るとされる赤いちゃんちゃんこや、赤い頭巾を身につける風習があります。

70歳は「古希」とされ、長寿祝いがあります。古希とは杜甫の詩の一節「人生七十古来稀なり」に由来し、「70年も生きるのは珍しいこと」という意味合いを含んでいます。杜甫の時代には、70歳の長寿は珍しかったようです。

77歳は「喜寿」とされています。「喜」は草書体で「㐂」と書き、「七十七」に見えることから、77歳を喜寿と呼ぶようになりました。

80歳代（傘寿、米寿）

80歳は「傘寿」とされます。「傘」の辞は略字で書くと「仐」という文字になることから、「八十」に見えるため「傘寿」になりました。

88歳には「米寿」のお祝いがあります。「米」の字を分解すると「八十八」に読めることから、米寿と呼ばれるようになりました。

90歳代～100歳（卒寿、白寿、百寿）

90歳は「卒寿」とされます。「卒」の略字が「卆」であり、「九十」と読めることから、90歳を卒寿とするようになりました。

99歳は「白寿」です。「白」の字が、「百」の字から一を引いたように読めることから白寿と呼ばれています。

100歳は「百寿」です。こちらはいたってシンプルで、100を表す漢字がそのまま使われています。まる一世紀が過ぎたという意味で「紀寿」と呼ばれたりもします。

長寿祝いのお祝い金相場

長寿祝いにはお祝い金を包みます。お祝い金の相場は、贈る側の立場によって違います。祝われる人と血縁の濃い方が、厚く包むことになります。もし改まったお祝いの場を設けるようであれば、招かれる側は会食費の人数分負担を意識して、少し厚く包みましょう。

まとめ

敬老祝金の制度は自治体によって違います。長寿を迎える方が住んでいる自治体でどのような制度があるかを調べましょう。

近年は超高齢化社会となり、長寿になる方が多くなってきているため、敬老祝金制度は縮小傾向にあります。構成員の多い自治体ほど制度縮小の傾向があり、いつ制度が廃止になってもおかしくありません。「今年は祝金を受け取れるけれど、次の機会はないかもしれない」と、頭に留めておきましょう。