老後

【FP解説】50代夫婦二人暮らしの生活費は?平均年収や貯蓄額と老後資金の貯め方

2025年5月22日 (2025年5月26日更新)

50代は、夫婦の収入が人生のピークを迎える時期です。入ってくるお金が増えるため安心感はありつつも、老後のためにどれだけ貯金をすればいいのか分からないという人もいます。そんなときは同世代夫婦の平均的な支出や貯蓄を知り、将来に向けてどう備えればよいかを考えましょう。50代夫婦二人暮らしの生活費を、平均年収や貯蓄額とともに解説します。

50代夫婦の生活費

内閣府の家計調査によると、50代の二人以上世帯における1ヶ月の生活費と、主な項目における平均金額は以下の通りです。

50代二人以上世帯の生活費(1ヶ月平均)】

項目

金額

消費支出合計

356,497

食料

92,068

住居

18,042

水道・光熱

23,940

家具・家事用品

13,023

被服及び履物

12,230

保健医療

13,675

交通・通信

51,948

教養娯楽

32,349

交際費

17,473

出典:2024年家計調査 家計収支編 二人以上の世帯 1世帯当たり1か月間の収入と支出 世帯主の年齢階級別(家計調査結果 総務省統計局)

50代夫婦の平均年収

50代夫婦の平均年収はどのくらいなのでしょうか。厚生労働省の「国民生活基礎調査」から、世帯ごとの平均所得金額を参照すると、世帯主が50代の世帯の平均年間所得金額は7585,000円です。これは全世代で最も高い所得金額であり、29歳以下の3395,000円と比べると倍以上もの開きがあります。

【世帯主の年齢階級別の所得の状況】

世帯主の年齢階級

平均年間所得金額

世帯人員1人あたり平均所得金額

20代以下

3395,000

2278,000

30

6085,000

2461,000

40

696万円

2294,000

50

7585,000

3094,000

60

5366,000

2484,000

70代以上

381万円

1935,000

出典:2023(令和5)年 国民生活基礎調査の概況 I 各種世帯の所得等の状況 世帯主の年齢階級別の所得の状況

50代夫婦の平均貯蓄額

50代夫婦はどのくらい貯蓄があり、どのような資産の形で保有しているのでしょうか。金融経済教育推進機構が行っている「家計の金融行動に関する世論調査」から見てみましょう。

50代・二人以上世帯における種類別金融商品保有額平均(金融資産を保有していない世帯を含む)】

金融資産の種類

金額

金融資産保有額(合計)

1,168万円

運用または将来の蓄えのための預貯金

468万円

金銭信託

21万円

生命保険

156万円

損害保険

15万円

個人年金保険

95万円

債券

37万円

株式

187万円

投資信託

142万円

財形貯蓄

29万円

その他金融商品

20万円

出典:家計の金融行動に関する世論調査(2024年)金融経済教育推進機構 各種分類別データ  種類別金融商品保有額

同じ調査において、60代の平均金融資産保有額は2,033万円、40代では944万円でした。

老後資金の貯め方のコツ

老後資金を貯めるときは、なるべく支出を減らすことをポイントにしましょう。以下の3つに注意してください。

スマホを格安プランに変える

節約しようとするとき、食費に注目する人もいるかと思います。しかし食費を削っても少しの節約効果しか得られず、また過度な食費の節約は、健康を損ねる恐れがあります。支出を減らしたいなら、固定費に注目しましょう。

例えばスマートフォンやインターネットの利用料金です。キャリアのプランから格安スマホに変えるだけで、月々数千円の節約に繋がります。夫婦2人のスマホを安いプランに変えれば、月に1万円を超える節約効果がみられる場合もあります。インターネットについても、スマホのプランと抱き合わせで使えるおトクなプランがないか、調べてみましょう。

より小さな家に住み替える

住み替えを行うのも1つの手です。もし子どもが巣立って家が広く感じられるようなら、より小さく安価で、維持費が抑えられるところへ住み替えてはいかがでしょうか。

また、今の家を売却し、小さな家やマンションへ住み替えを行ったときの売却益を調べてみましょう。売却益を預貯金に組み入れられると、さらに安心です。

住宅ローンを借り換える

マイホームの住宅ローンが残っていて、定年後もかなり返済しなければならない予定であれば、住宅ローンの借り換えを検討しましょう。現在よりも月々の支払を抑えられるかもしれません。

なお、詳しくは後述しますが、リバースモーゲージを使って住宅ローンを一括で支払うことも可能です。リバースモーゲージとは、自宅を担保に金融機関から借り入れを行う融資の仕組みです。毎月の返済は利息のみのため、利息と元金を合わせて支払う住宅ローンよりも月々の負担が軽くなります。

老後資金を準備する方法

最後に、老後資金を準備する方法を4つご紹介します。

資産運用

資産運用には様々な種類があります。リスクの少ない運用方法としては定期預金などの預貯金が挙げられ、一般に従来型の銀行よりもネット銀行の方が、金利が高い傾向にあります。キャンペーンを行っている期間にはよりおトクに貯められるケースもあるため、定期的に調べてみましょう。

リスクを負う恐れがある資産運用としては、株式投資や投資信託があります。債券投資は元本割れのリスクがあまりなく、株式投資や投資信託よりも安心感がありますが、投資先によってはデフォルトとなる危険もあるため気をつけなければなりません。

NISA(少額投資非課税制度)

NISAは、少額の投資を行う人を対象とした税制優遇制度です。投資をすると、受け取った利益には通常20%ほどの税金がかかりますが、NISA口座内で行った投資の利益は、非課税で受け取れます。投資益をそのまま次の投資に使えるため、複利効果が抜群です。

2024年から新制度が開始され、年間投資枠や非課税保有限度額が大幅にアップして使いやすくなりました。気になる方は、詳しく調べてみましょう。

参考:「NISA」って何?わかりやすく解説(政府広報オンライン

iDeCo(個人型確定拠出年金)

iDeCoとは、私的年金制度の1つです。加入は任意であり、掛金の拠出や運用を自分で行って、給付の際には掛金と運用益の合計額を元に受け取ることができます。掛金、運用益、給付を受け取るとき、いずれも税制上の優遇措置があります。

投資方法の1つではありますが、NISAと違って年金の1つなので、60歳以降にならないと給付が始まりません。気をつけましょう。

参考:iDeCo(イデコ・個人型確定拠出年金)【公式】(iDeCo公式サイト)

リバースモーゲージ

先述したリバースモーゲージは、自宅を担保に金融機関から老後資金を借り入れる、シニア層向けの融資方法です。契約者は、担保となった自宅にずっと住み続けることができます。契約者の存命中は利息だけを返済し、契約者がお亡くなりになった後、相続人が担保物件を売却するなどの方法で元金を返済します。

自宅を誰も相続する予定がないなら、自宅を「資産」として活用できるチャンスです。特に都市部に自宅を持っているなら、多くの資金を調達できる可能性があります。

まとめ

50代の夫婦2人の生活は、余裕があるケースが多いものです。しかし、老後資金を貯めなければならないことを考えると、より大きな資金形成へ舵を切らなければならないタイミングでもあります。これまで行ってきた資金形成術に加え、さまざまな方法を検討してみましょう。

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