体験談

【FP解説】葬儀後、遺品整理をしていたら互助会の会員証が……遺族が見舞われた二重のショック

2023年6月22日 (2023年11月3日更新)

終活を行ったら、その内容を身近な人に伝えておかないと、希望が叶えられない可能性が高くなります。でないと、お金が絡む失敗をしてしまうことも珍しくありません。今回は、埼玉県に住むAさん(46歳女性)の体験談をご紹介します。

父の死後、空き家を片づけていたら見つけた会員証

母亡き後、一人暮らしをしていた父が80歳で亡くなり、葬儀が終わって一息ついた後に片付けを済ませようと空き家を訪ねました。姉と手分けして整理していると、寝室の引き出しから「会員証」と書かれた保険証書のようなものが。会員番号や父の住所氏名のほか、社名や「掛け金」として「3,000円×100回」と書かれていますが、どんな会社のどんなサービスなのか、内容は分かりません。

その紙を「こんなの見つけたよ」と姉に見せたところ、姉は会社名を見て「ああ、この会社は知ってるよ。互助会だよね」と言った後、急に真剣な顔つきになりました。「お父さん、互助会に入ってたの?」

互助会って何?詳しく知らなかった私、一つめのショック

「互助会は葬儀を依頼するところ」という知識くらいしかなかった私。旦那さんの両親を見送った経験のある姉は、互助会の葬儀を利用したことがあると言いました。

「亡くなったお義母さんが互助会の会員で、毎月何千円かを積み立てしていたの。その積立金を使って葬儀をやったんだ。……お父さんも積み立てしてたんだね。でも、互助会でお葬式はしてあげられなかったね」

その場でインターネットを使い、少し調べてみたところ、互助会は葬儀のほか、結婚式なども行うとか。父が会員となっていた互助会は3,000円×100回払の葬儀プランを確かに行っていました。「お父さん、この互助会でお葬式をしたかったのかな」。互助会のホームページに掲載されている、葬儀プランで使える祭壇や棺、式場などの画像を見て、私は胸が苦しくなりました。実際には、違う葬儀社で葬儀をしてしまったためです。取り返しがつかないことながら、「知らなかったのだからしょうがない」と姉妹でなぐさめ合いました。

解約したら手数料が!2つめのショック

電話で互助会に事情を話すと、会員番号を照会し、すでに満期となっていることを教えてもらいました。3,000円を100回ですから、30万円です。「ご家族がご利用になる予定がない場合は、解約の手続きも取れます」とのこと。私は、解約でお願いしますと告げました。

すると、「手続きには解約手数料がかかります」と、4万5,000円もの手数料を提示されました。積立といえば保険か銀行預金のイメージがある私は、満期の解約なのに手数料がかかると聞いてビックリ。想定外の高額にも驚き、つい「えっ?」と大きな声が出てしまいました。

説明を聞くと、互助会の積立は前受金であり、いざというときすぐにサービスを利用してもらえるよう前受金で準備を行っているため、満期であっても解約には手数料がかかるのだとか。納得のいくような、いかないような……。でもこのまま契約を続けていたとして使い道がないし、解約するしかありません。

偶然の発見がなかったら、30万円が知らないうちに消えていた

結局、互助会からは解約手数料を引いた25万5,000円を指定の口座に振り込んでもらうことになりました。姉は「会員証が見つかっただけでも良かった。見つからなかったら、30万円まるごと知らないうちに消えていたよ」と。

その通りです。私は本当に何気なく寝室の引き出しを開け、中にあったファイルをただパラパラとめくってみただけ。ファイルの中からひらっと、会員証が滑り落ちたのです。もし寝室を整理したのが私ではなく姉だったら。ファイルをそのまま不用品の段ボールに入れてしまっていたら。会員証は見つかっていなかったかもしれません。

想像すると恐ろしく、その後は姉妹揃って慎重に遺品整理を進めました。

【まとめ】終活の情報はキーパーソンに共有を

終活をしても、それを自分が亡くなったときキーパーソンとなる人に伝えておかなければ、せっかくの手続きが無駄になってしまう恐れがあります。その代表的な例が、葬儀の生前契約ともいえる互助会の加入です。

互助会に加入したらすぐ子世代などに連絡を入れ、契約内容と会員証の保管先を共有しましょう。解約するときのことも含め、契約事項について子世代が了解していれば、今回のように解約手数料で戸惑うこともありません。また、可能であれば加入する前に家族へ相談し、みんな納得の上で契約を進めるのが理想的です。

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