体験談

【FP解説】平屋のバリアフリーで弱る足腰、結局はジム通い

2023年7月9日 (2023年11月3日更新)

シニアになると自宅の段差でつまずいたり、階段で転んだりするなどして負傷する心配が出てきます。加齢により骨がもろくなっていると骨折しやすく、治りが悪いためそのまま寝たきりに移行する可能性も否めません。
そこで注目されているのが住宅のバリアフリー化ですが、タイミングを誤ると後悔することも。今回は茨城県に住むIさん(64歳男性)の失敗談をご紹介します。

定年を機に住み替えたマイホームは平屋

私は60歳で定年退職した後、仕事をすっぱり辞めました。再雇用という選択肢もありましたが、老後資金は十分に作れたため悠々自適な生活を送りたく、晴れて無職となりました。

退職して最初に取り組んだのがマイホーム探しです。2人の子どもが独立して広く感じていた一軒家から、夫婦で中古の平屋に引っ越しました。引っ越し時には、水回りとバリアフリーのためのリフォーム工事を行いました。

平屋にこだわったのは、老後の暮らしをスムーズにする家がほしいと考えたからです。今後足腰が弱ってきたときに、階段で転倒し救急車を呼ぶようなことは避けたいと常々思っていました。いわば終活の一環として、平屋をバリアフリー化した家へ住み替えることにしたのです。

妻も喜んだ「生活がとにかくラク!」平屋の魅力に開眼する毎日

最初は、こぢんまりとした平屋の暮らしを妻が気に入ってくれるかどうかが不安でした。しかし妻は不平を鳴らすどころか、「平屋に越してから、生活がとにかくラクになったわ」と喜んでくれました。

妻によれば、家事を行う主婦だからこそ特にそう思うのかもしれないとのこと。洗濯や掃除のたびに階段を上り下りする必要がなく、生活動線がとにかくスムーズになったと、そしてバリアフリーだからロボット掃除機が活躍してくれると上機嫌です。私自身、酔いが回った夜でも寝室や浴室への移動がおっくうにならないなと感じていました。

何よりダウンサイジングしたため、部屋同士の行き来が格段になくなりました。もう通勤する必要がないので、一日中リビングか隣のダイニングにいる毎日。「これが悠々自適というやつだ」と満喫していたのです。

何かがおかしい?久々の公園散歩で切れる息

平屋に越してから3年目を迎える頃、「いい天気だからたまには散歩でもしよう」と妻を誘いました。妻は「せっかくだから公園で簡単な昼食をとりましょう」とおにぎりを握ってくれ、久々のピクニック気分です。気恥ずかしいような嬉しいような気持ちで家を出ました。

家を出て15分後、公園に着きました。こんなに歩いたのは久しぶりです。少し息が切れてしまったのを情けなく思いましたが、「上の芝生のところまで行きましょうか」と言う妻も、頬が上気しています。

高台の芝生へと向かう階段を上り、坂を上って目的地にたどり着いたときには2人ともゼエゼエと息をしていました。「こんなにキツかったっけ?」と私が尋ねると、妻も「そんなに歩いてないはずですよね」と悔しそうな顔。周りでは私たちと同じような年齢のシニアが散歩していますが、みな涼しい顔で歩いています。

「そういえば、私痩せたのよね。特に足が。もしかしたら、平屋暮らしで筋肉が落ちているのかも」とつぶやきながら、妻は自分のふくらはぎを揉みました。

最近、私も体重が減って喜んでいましたが、確かに足が特に細くなったと感じていました。平屋暮らしになった上、通勤もないので歩く機会がありません。減ったのが贅肉ではなく、筋肉だとしたら……。老後の不安を先取りしてバリアフリー化したせいで、夫婦二人とも体の老化が進んでしまったのでしょうか。

夫婦でスポーツジムに通う毎日

慌てて夫婦一緒にスポーツジムに入会し、筋力測定を行いました。やはり筋力は二人とも同年代平均より少なくなっているようで、今では階段昇降やスクワットなど下半身の筋力強化を中心に取り組んでいます。

家を買ったことに後悔はありませんが、平屋が体に与えるデメリットにもっと早く気づくべきだったと反省しています。安全なことは良いことですが、日常に刺激がないと衰えていってしまうのは、きっと体も脳も一緒ですね。

【まとめ】健康に気を配りながら安全に生活することの難しさ

シニアが自宅の階段から転げ落ちて骨折すると「早くバリアフリーにしておけば良かったのに」と言われ、スポーツで体を痛めると「いい年をして運動するからだ」と言われる。それなのに巷では、「健康寿命を伸ばすため適度な運動を心がけましょう」と叫ばれています。いったいどうすればいいんだと悩むシニアもいるはずです。

どんな運動をどの程度行えば良いかは、ご本人の年齢や健康状態によって違います。大事なのは自分がどんな健康状態にあり、どのような運動が適切なのかを知ることです。このご夫婦のようにジムに通ってプロにアドバイスを求めたり、あるいは整体師など体の専門家に相談したりすることで、第三者の客観的な視点を取り入れてみましょう。

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